富士電機情報サービス株式会社は、2004年4月、従来のRDBMS環境での文書管理システムを見直し、NeoCoreをデータベースに据えたQMS※管理システムを構築した。頻繁に項目変更を必要とするISO基準文書データについて、XMLによる柔軟なデータ管理でメンテナンスにかかる手間とコストの大幅な削減に成功。
その背景と効果について、情報SI事業部開発センターの溝口昌志部長、高橋美紀子マネージャ、河辺 倫美氏、さらに開発に携わったエクスイズム社の徳江一義代表取締役にお話を伺った。

※QMS:Quality Management System/品質マネジメントシステム

背景:従来のシステムはただファイリングしているだけ。情報の有効活用ができない!

富士電機情報サービス株式会社 情報SI事業部 開発センター 開発第一Gr 部長 溝口 昌志 氏富士電機ホールディングスの100%子会社として、1994年に設立された富士電機情報サービス(以下、FIS)。富士電機グループの多彩なノウハウをもとに情報SI事業をはじめ、ドキュメント事業、オフィスサービス事業を柱とし、システム構築からソフトウェア開発、広告、印刷、イベント企画、OA機器販売等、幅広く展開している。
FISでは、この度、業務の効率化とさらなる品質向上を図るため、従来のRDBMS環境での社内文書管理システムを刷新し、XMLDB「NeoCore」を核としたQMS管理システムを構築した。

「当社では、10年ほど前からRDBMS環境で文書管理システムを運用していましたが、WordやExcelの書類をただファイリングしているだけで、全文検索などはできない状況でした。これでは社内リソースの詳細な管理や有効活用もできず、2002年12月のISO9001認証取得を機に新システムの検討を始めました。そこで、これまでExcelで入力・文書管理していたISO基準の書類を、社内のイントラを使ってWeb上から入力してデータベースとして管理する方法に変更したのです」
(FIS 情報SI事業部 開発センター 開発第一Gr 部長 溝口 昌志 氏)

「XMLベース」「低コスト」「新しい」その条件を満たした「NeoCore」

富士電機情報サービス株式会社 情報SI事業部 開発センター 開発第一Gr マネージャ 高橋 美紀子 氏そもそもISO基準の書類は、項目数も多く、仮にフォーマットを決めても運用後に各部署からの要望などで項目の追加・変更するケースが多いという。

「QMS文書については、その基本に“良くしていこう”という思想があります。ですから仮にプロジェクト管理の文書フォーマットが決まったとしても、それはあくまでもひな形といった位置付けでしかありません。実際に使ってみて、各部署からの意見をその都度取り入れて、項目を追加・変更しながら作成していくことになります。これらを管理していくためには、テーブル設定を必要とするRDBMSでは、とても不可能でした」
(FIS 情報SI事業部 開発センター 開発第一Gr マネージャ 高橋 美紀子 氏)

こうした理由から、FISは新システムの基本仕様を「XMLベース」とした。同社では、数年前からXML技術に注目しており、FISの新たな技術戦略の一環としても意義があることだったという。

「当社にはまだXMLのノウハウがありませんでしたし、柔軟性と拡張性に富むXML技術を習得することで、将来的に我々のビジネスに生かせるのではないかと考えたわけです」
(FIS 高橋氏)

さらにデータベースの選定条件として、「低コスト」で「新しい」ものということも重要な要素だった。
これらの依頼を受け、構築を担当したのがドキュメント関連のXMLソリューションを数多く手掛けるエクスイズム社である。高橋氏から具体的な要件として提示されたのは、XMLデータ形式にすることで、(1)従来よりも効率的な文書管理、フォーマットの再利用、(2)進捗管理・台帳管理、(3)基幹システムとの連携、(4)RDBMSと同等の検索速度、が可能であることだった。これらの条件を満たすデータベースとしてエクスイズムが提案したのが、「NeoCore」だったのである。

システム概要と効果:項目の追加修正もスムーズ。独自のフルオートインデックス機能が決め手に

株式会社エクスイズム CEO 代表取締役 徳江 一義 氏「データベースで最も重要となるのは、処理速度です。XMLDBでは、構造が自由に変更できるという性質上、RDBMSのように直接的に要素を抜き出すのではなく、指定された条件に当てはまるもの全ての中から探す処理となり、検索速度がデータ量や検索条件によって遅くなる場合があります。その点を補うため、“インデックス”というデータ構造の目次を作成しますが、従来のXMLDBは、このインデックスを作成する際に大掛かりな作業が発生していました。NeoCoreでは、データを格納するだけでインデックスが自動生成され(フルオートインデックス機能)、高速検索が実現します。この点がNeoCore採用の最大の理由です」
(エクスイズム CEO 代表取締役 徳江 一義 氏)

このフルオートインデックス機能は、NeoCore独自の特許技術DPP(Digital Pattern Processing)によるものである。まず、データの格納時にDPPがすべてのタグに対して、ユニークな形状のアイコンを生成する。さらに検索時には検索式(Query)を同じくDPPでアイコン化し、これらの2つのアイコンが数学的にマッチするため、インデックス領域を検索することなしに“超高速”な検索を実現できるのである。
また、「Well Formed XML対応」「大規模データ対応」といった特性もNeoCoreの大きな魅力であったと徳江氏は語る。運用段階でのシステムの再チューニングが発生しないといった安心感と安定感は、FISに継続した満足を提供できるからだ。

開発にあたっては、FISからもエンジニアをエクスイズム社に派遣し、協同で進めていった。開発に携わったFISの河辺氏はNeoCoreの効果を次のように語る。

富士電機情報サービス株式会社 情報SI事業部 開発センター 開発第一Gr 河辺 倫美 氏「提案段階では、XMLのタグがそのままデータベースに格納できることがなかなか実感できませんでしたが、実際に触ってみると、“データを入れて検索して引き出す”といった部分はRDBMSと同じですから、特に抵抗はなかったですね。ただ、文書フォーマットが変わった時は、RDBMSとの違いが歴然と出てきます。RDBMSの場合、いちいち構造を変えなければならず、莫大な時間とコストががかかってしまいます。NeoCoreならば、タグが増えるだけで、スキーマ定義が要りません。更新がかかっても柔軟に素早く対応できるため、とても満足しています」

さらに懸念された検索スピードに関しては、約10万件のデータについて事前検証した結果、納得のいくパフォーマンスが得られたという。

今後の展開:設計仕様書や図面、画像など、あらゆるドキュメントをXMLで一元管理して有効活用を

こうして導入された今回のQMS管理システムは、社内イントラ上で稼働し、ブラウザを通じて、プロジェクト管理文書に入力できるようになっている。Excelライクなインターフェースを実現したことにより、従来のExcelからの切り替えもスムーズで、特に社員教育の必要もなかったという。また類似案件の入力の手間を省くため、文書の複写機能も設けている。入力した情報はExcelにダウンロードすることができ、承認印の押印など、紙での運用も考慮した効率的な仕組みとなっている。
今後は、このシステムをベースに全社的なデータの一元管理を視野に入れているという。

「設計仕様書や図面、画像、カタログやマニュアル、取扱説明書など、社内にあるさまざまなドキュメントをXMLで一元管理にして、例えば、それらをHTML化してWebで展開するといった有効活用ができればと考えています。そうすることで我々のビジネス拡大も期待できるはずです。その点、NeoCoreの場合、外国製品にも関わらず、三井物産さんが自社でサポートするというしっかりとした体制ができていますから、非常に心強いですね」
(FIS 溝口氏)

FISが提供する新たな付加価値ソリューションに、NeoCoreの柔軟性と拡張性が有効な役割を果たすに違いない。

QMS管理システム機能

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